完本 本因坊秀策全集
![]() |
本格的な厚い碁 |
坊門の碁の集大成。一見やさしいふつうの着手で、盤面をリードする。こんなところに当たり前の手を打って、盤面全体を動かすのか、と驚く。手所では、着手にあらわれない読みが、驚くほど深く、力が強いからゆっくりした手を打てると、納得する。全体的に、手合い違いの上手が無理をせずに打っている感じが強い。碁とは、こう打つものですよ、と語りかけてくる。
![]() |
秀策を並べよう |
棋聖と呼ばれた秀策の全集である。碁の個人全集は通常なぜか和紙のものが多いのであるが、この全集は普通の紙でできていて管理に気を使わなくても良い。この点は、今後出版される囲碁の全集ものも見習ってほしい。
かつて「歴代名人打ち碁大系」の中の一部として出版された秀策全集には379局が収められていたが、本書にはその後見つかった新譜も含めて計468局が収められている。解説はほとんどなく、対局者の人物紹介やその碁の打たれた背景などについての簡単な記述があるのみ。私としては余分な解説はいらないと思うので、ちょうどいい。ちなみに譜は100手ごとに分けられているので、見やすくなっている。級位者でも困らないであろう。
秀策の碁というとじっくり力をためて打つ本格派というイメージがある(実は力強い碁も結構あってそれはそれで並べて楽しい)。そういう芸当ができるのも明るい形勢判断があるからでなのであるが、低段者くらいが並べると何だ当たり前じゃない(実は当たり前のようにみえる手が実戦になると打てないものだが)というような手が多くてかえって嫌になってしまうかもしれない。もちろん誰が並べてもいいのだが、級位者か高段者(あるいはそれ以上)が並べるとより得るところが大きいと思う。級位者は一手、一手の意味など考えず、当たり前の手が体に染み込むように、繰り返し繰り返し並べればいいと思う。高段者は時々形勢判断をしながら並べて、その明るさに心を打たれればよい。
値段が高いと思うかもしれないが、一生楽しめるのだから、それほど高い買い物ではないと思う。




